[bike]台湾ツーリング2011 臺灣機車旅遊 – part9 合歡山→武嶺→霧社→台中

台湾ツーリング2011
この記事(part9)の旅程
  • 5月6日
    合歡山

    台湾最高所のホテルで日の出&朝食

  • 9:00頃
    武嶺

    台湾公道最高地点に到達
    高山病が悪化

  • 10:30頃
    霧社

    霧社事件記念碑を訪問

  • 11:30頃
    埔里

    紹興紅茶で休憩

  • 14:00頃
    台中

    高山病で動けず昼寝
    茶芸館・無為草堂で夕食&高級茶
    精明一街の春水堂本店で珍珠奶茶

5月6日 – 台湾ツーリング8日目

合歡山

標高3000m超の地上に自分の足で立ったのは人生初で、まさか自分が高山病に罹るとは予想していませんでした。夜中も何度か頭痛と吐き気で目が覚めて浅い眠りのまま朝を迎えます。

目覚まし無しで5:30頃に起床。眠気が残りつつも気分はかなり回復しています。

部屋のバルコニーに出てみます。
雨と濃霧を心配していましたが今朝は青空が覗いていました。

防寒のためにバイク用ジャケットを着込んで外へ出ます。

ホテル周辺の絶景

正面出入口は7:00~20:00の間のみ開放、それ以外の時間帯はオートロックで施錠されています。
時間外にこの扉を開けるにはルームキーに付いている電子キーが必要となります。

気温は7度。あまり寒くありません。

昨日は真っ暗で全然見えなかった松雪樓の全景。

全国スクーターだらけの台湾でもここにあるスクーターは私が乗ってきた1台だけでした。

展望台からは山脈と雲の隙間から黄色い朝陽が輝いています。

天気は曇り、というより「雲の中にいる」と表現するほうが適切でしょうか。
西風が風向を変えずに轟音を立てながら吹き続け、それに乗って動く雲が目の前でゆっくり移動していきます。

松雪樓の周辺で撮影した日の出直後の景色を動画で。

合歡山荘の近くにある展望台まで撮影機材を担いで走っていると身体が違和感に襲われます。走ったことで身体の酸素が足りなくなり、せっかく治まった高山病が昨日より悪化してしまい頭痛の再発です。

昨夜は濃霧でほとんど視認出来なかった合歡山(標高3158m)の標識。

こちらも昨夜は濃霧で判読出来なかった合歡山荘の電光掲示板
今日ははっきりと判読出来ます。

交通部中央氣象局
合歡山氣象顯示幕

2011.05.06
06:11

気圧 699.6hPa
気温 7.3度

湿度 100
雨量 0mm

風速 6.8m/秒
風力 4

気温や風速はごく普通ですが気圧 699.6hPaの表示を見て驚愕します。
「24時間以内で到達すると高山病のリスクが高まる」と言われるこの高所まで私は約6時間で到達していました。体調不良になって当然です。

撮影を終えたらゆっくり歩いて松雪樓まで戻ります。

醫療站(医務室)に入り、常備されている酸素吸入器の酸素マスクを口に当てて稼働させます。
深呼吸すると頭痛が緩和する気がしました。「気がした」だけで頭痛は完全には治まりませんでした。

朝食後にチェックアウト

朝食も美味しそうなビュッフェで窓からは壮大な景色が眺められます。

しかし、体調不良のため朝食はこれだけで済ませました。もったいない。

食後にまた酸素ボンベで酸素を吸いまくり、部屋の荷物をスクーターまで運んでからチェックアウトしました。

ホテル前の海抜3150m公尺記念撮影スポット。

松雪樓は標高3150mという場所にもかかわらず一般的なホテルと変わらない設備で、エアコンも浴室もあり蛇口からは24時間お湯が出ました。レストランではステーキもワインも提供されています。しかもマイカーで行けて(頑張ればスクーターでも行けて)、一泊朝食付で2440元というお値段も場所と設備を考えると破格の料金設定でした。

武嶺

標高3150mのホテルから更に高所へ向かいます。

松雪樓から台湾の公道最高地点までの走行動画。

台湾の公道最高地点に到達

スクーターでゆっくり走って約5分、9:00頃にこの展望台に到着しました。

嶺 武
尺 公 3 2 7 5 高 標

ここが台湾の公道最高地点(標高3275m)の武嶺
『嶺武』じゃなくて『武嶺』

ふだんは登山をしていない自分が3000m級の山岳地帯ツーリングで標高3275mまで到達したことは貴重な体験となりました。

カメラを壊してしまう

そんな場所で頭痛に耐えつつ、デジタル一眼を三脚にセットしたまま別のビデオカメラで動画を撮っていたら強風で三脚が倒れ、石畳に叩きつけられたデジタル一眼とレンズが全損しました。

今回携行している最高額の撮影機材が砕け、撮りたかった景色は最終日まで撮れなくなってしまった。しかしここで慌てることもなく、壊れたカメラを見て逆に冷静になります。「いつもの自分ならこんな強風のときに三脚から目を話さないよな」と、高山病のために判断力が落ちていることを客観的に理解し、砕け散ったカメラの破片をさっさと片付けてスクーターに戻ります。
(このカメラは旅行保険の携行品損害特約を利用し、帰国してからタダ同然で修理しました)

少ないながらビデオカメラで動画は撮れました。
(以下、動画からのキャプチャ画像です)

武嶺周辺の自然と絶景

展望台から見た仁和路。この道路が埔里や台中まで続いていて今日はこの道を下る予定です。
緑色の山肌に黄色と赤色のガードレールが映えます。

日本の森林限界(富士山の場合で標高約2500m)を遥かに超えていても高木樹が自生し野鳥も鳴いています。

広い駐車場もあり、マイカーに乗った家族連れやミニバンに乗った観光客が続々と登ってきて笑顔で記念撮影しています。

高山病は治らず判断力が落ちたままでスクーターを運転し無事故で下山しなくてはなりません。

武嶺を出発し、仁和路の途中で停車してナビの目的地を台中に設定します。

下り坂の途中で重型機車(大型バイク)のツーリング集団が記念撮影しています。いつもなら声でもかけていたでしょうが今はそんな余裕は無く素通りします。

標高2500m付近ではポロシャツにハーフパンツの欧米人がスクーター3台連なって対向車線を登っていく姿が見えました。

台湾最高所(標高2050m)にあるセブンイレブンまで下山。
清境最高富嘉門市 海抜2050公尺の看板がありました。

霧社

超安全運転で約1時間、10:30頃にようやく霧社(南投県仁愛郷)に到着です。

道路沿いの大きな鳥居の前で停車。

日台の重要な歴史の現場

ここは有名な霧社事件の舞台となった地です。

霧社事件は日本統治時代最大級の抗日武装蜂起事件です。 1930年10月に霧社周辺で原住民のセデック族を中心とする原住民が、小学校で開催されていた運動会を襲撃し子供を含む日本人や漢人を殺傷、台湾総督府が警察や軍を派遣して報復し多数の犠牲者が出ました。

霧社事件を主導した莫那魯道(モーナ・ルダオ)の像。
台座には抗日英雄と刻まれています。

抗日運動で亡くなった原住民族の墓とその銅像。
無名英雄之墓と刻まれています。

ここには日本語の解説が全く無く帰国してからその詳細を学びました。
同年2011年には霧社事件を扱った台湾映画『セデック・バレ』も公開されました。

ここでもまだ体調は戻らず、階段に座り壁に寄りかかって仮眠。
10分くらい寝た後は重い腰を上げて防寒着を脱いでからスクーターに跨って出発しました。

標高1000mを下回って気温も上がり、緑の山道をのんびり進んでいくうちに気持ちにも余裕が出てきます。

埔里

霧社から40分くらいで埔里に到着。

埔里の名物といえば野菜、ビーフン、紹興酒。
食欲が無く野菜とビーフンは口にせずスクーター運転中で紹興酒は飲めません。
フルーツジュース屋さんで紹興紅茶を注文。暑い太陽の下で冷たいお茶が身に沁みます。

休憩した後は2車線の幹線道路を淡々と下ります。
交通量も少なく猿の飛び出しも無く順調に先へ進みます。

台中

標高3275mの武嶺から5時間、標高100mを下回る平地まで下ってきました。
台湾らしい暑さで汗が吹き出してくると生きた心地がしてむしろ気持ちいいくらいです。

14:00頃、ツーリング2日目に通過しただけの台中に再び戻ってきました。

個人的に好きな台中駅舎

ホテルで昼寝

今夜は台中に泊まるため早めの宿探しを始めます。
駅周辺は駐輪場の空きを見つけるのも困難なほど大混雑で宿が探せてもスクーターを置く場所がありません。駅を離れ、今夜行く予定の茶芸館に近いホテルを探します。

萬壽公園の近くにある喜佳美商務飯店を見つけ、どんな部屋なのか確かめないままシングル1室をリクエストして即チェックインします。

ほとんど寝るだけで過ごすには十分以上の設備です。

時刻はまだ15:00
せっかく台中まで来たのに昼から頭痛でダウンするとはもったいないと嘆きつつ、風呂に浸かってから目覚ましをセットして寝ます。

19:00のアラームで目覚めます。
軽い偏頭痛が残っている程度で体調はかなり快復しました。

着替えてからスクーターに乗って外出します。

茶芸館で夕食と高級茶

数百mの移動ですぐに茶芸館の無為草堂に到着。

茶芸館とは台湾各地にある中国茶専門のカフェ(たまに中国茶をメインにしているカフェ)の一般的な呼称です。台中は特に茶芸館が多く、その中でも無為草堂は超有名店でお一人様でも入りやすいとのことで訪問しました。

お店の入り口。

古い日本式家屋を改築した店舗。
錦鯉が泳ぐ池を囲むように座敷が配置されています。

お一人様にしては豪華な座敷に案内され、靴を脱いで畳に座ります。

茶芸館だからお茶だけの注文も可ですが、食欲も戻ってきて先に夕食を注文します。

今夜の夕食、客家風味燻鴨(客家風鴨のロースト定食)。

食後に肝心のお茶を注文しようとメニューの中国語を必死に解読しても、どれ選んでいいのかさっぱり分らりません。店員さんにお勧めのお茶を聞くとお一人様向けの中国茶セットを持ってきていただけました。

これがお一人様分の阿里山烏龍茶
本格的で使い方がさっぱり分かりません。

右が聞香杯(香りを愉しむためだけの茶碗)
左が茶杯(お茶を飲むための茶碗)

こんなときは店員さんにお願いすると中国茶の作法の実演をしていただけます。

店員さんが日本語で解説しながらお茶淹れの実演をする動画。

「お湯を急須に注いで急須を暖めます」「お湯を捨てます」「茶葉を入れます」「お湯を注ぎます」「すぐに茶を出します」と流暢すぎる日本語で解説。最後に「香りを愉しみます」と言われ、茶碗を鼻に近付けると私のような素人でも直感的に分かるくらいのいい香りが鼻の奥に広がります。

お茶を愉しむ途中で席を立って渡り廊下に出てみます。

そこへ店員さんが近寄ってきて紙コップを渡されました。鯉のエサが入っていて、池にばら撒くと上品に泳いでいた鯉の群れがすごい勢いで喰らいついてきます。

ゆっくりお茶を愉しんでから席を立ってお会計。帰り際に日本語で「タクシーをお呼びしましょうか?」と聞かれました。雰囲気もお茶もサービスも素晴らしいお店でした。

カフェでパールミルクティー

次は2年前にも行った台中のカフェ文化の中心地へ向かいます。

精明一街に到着。
ここには台湾の喫茶店チェーン・春水堂の本店があります。

ここで注文しなくてはなるまい春水堂の珍珠奶茶(パールミルクティー)。
やや蒸し暑いテラス席に座り熱い珍珠奶茶を飲んで汗をかく。

昨夜から悩まされ続けた高山病はすっかり消え失せました。
台中は夜だけでも十分楽しい街でした。ホテルに帰ってからシャワーを浴びて就寝。

明日は台北に戻ります。

ツーリング動画

台湾ツーリング2011 / 臺灣機車旅遊2011 – [ part 8 ]

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