2015年12月末から翌2016年1月まで宗谷岬年越しツーリングを完走した記録です。
宗谷岬年越しツーリングを即決
台湾一周ツーリングをきっかけにして多くの台湾人と知り合いました。
その中の一人、日本在住の台湾人リンさん(右)。
2015年10月、そのリンさんから突然連絡がありました。
宗谷岬年越しツーリングに行きたい。
日本人は皆どんなルート走るか知ってる?
行ったこと無いけど参考になる動画があるよ
二人でYouTube宗谷岬年越し動画を見ていたら自分も行きたくなってしまい、ノリで「俺も行く!」と宣言し深く考えもせず宗谷岬年越しツーリング行きが決まりました。
北海道には旅行や冠婚葬祭で行ったことはあってもバイクで走ったことは無く、私にとって初めての北海道ツーリングとなります。
私が知る限り、宗谷岬年越しツーリングは1990年代には既にチャレンジしているライダーがいたことを覚えています。その後は年々チャレンジャーが増え続け大手テレビ局やバイク雑誌で取材されるようになり、最近は過去最多のライダーが集結するようになっているそうです。
ツーリング出発の12月末まで残り1か月半、今までとは勝手が違う極寒雪道ツーリングに向けて準備を始めることとなりました。
バイクの準備
バイク選び
今回のツーリングで使うバイク。
SPARK135 (YAMAHA Thailand 2008)
ツーリングに行くと決めた時点で所有していたバイクがaprilia FUTURAとSPARK135の2台。オンロード専用ツアラーのFUTURAで豪雪の北海道を走破するには色々と無理があります。
7年以上日常の足として乗り続け利点も弱点もよく分かっていて、カブ対応17inchスノータイヤがそのまま装着出来て、原付禁止のバイパスや有料道路も走れるSPARK135で行くことに決めました。
激安中古の原付を買って大胆に改造することも考えましたが、購入手続き・保険契約・ツーリング後の処分が面倒で、どんな不具合が出るのか予測出来ない中古車で何日も雪道を走り続けるのはリスクが高過ぎると考え却下しました。
雪中走行仕様にカスタム
SPARK135を積雪や凍結が続く道路で走破出来るようカスタムします。
スノータイヤ+チェーン
凍結&積雪路を走るためには必須かつ最優先の装備です。
125cc超のバイクはスパイクタイヤ装着は原則違法になるため、135ccのバイクにはスノータイヤにチェーン装着が現実的な選択となります。
タイヤ ダンロップS106(F2.25-17/R2.50-17)
チェーン MIZUNO製スノーチェーン
※この他に金属ワイヤーと結束バンドを組み合わせた着脱可能な自作の滑り止めを装着しました。
スクリーン
強烈な吹雪と突風から視界を確保しつつ自分の上半身を護るためにスクリーンも装着。
スクリーン SENFUN(台湾のスクリーン専門メーカー) 角度可変式スクリーン
LED補助灯
日本国内で最も日照時間が短い時期/地域でのツーリングで、しかも路面は積雪か凍結、昼間でも豪雪で前が見えにくくなることは事前に判っているため、純正ヘッドライドだけでは光量が足りず強力な灯火類増設は必須です。
バッテリー容量が小さいため出来るだけ消費電力が低い補助灯を選びました。
LED補助灯 汎用防雨LED作業灯x2個(メーカー不明)
スイッチ デイトナ71779 バイク用防水スイッチ
ハンドルカバー
アクセル・ブレーキという最重要操作に支障が無いよう指先の防寒防雪も徹底します。
毎冬に常用していた汎用ハンドルカバーをそのまま流用します。
ハンドルカバー 山本工業 SAFETY MATE #130(現在は生産終了)
レッグカバー
腰~脚の防寒防雪のため毎冬に常用していたレッグカバーをそのまま使用します。
レッグカバー ワイズギア 通快レッグカバー(現在は生産終了)
バイク本体に装着するというよりはライダーの身体にワンタッチで着脱するタイプ。
ナビゲーション(ナビ専用機+スマートフォン)
ツーリンググローブを着用するとスマホ画面の操作が困難になるため道案内は主にナビ専用機に頼ることになります。
ナビ専用機 GARMIN NUVI
スマートフォン 汎用スマホ+GoogleMAP
マウント RAMマウント
トップケース
常用しているGIVIのトップケースをそのまま流用します。
トップケース GIVI E20N
サイドバッグ
車体の左右にぶら下げるサイドバッグはロードバイク用のパニアバッグを流用します。
サイドバッグの中身は衣類や工具等を詰め込み、凍結路で転倒したときにはバイクの車体を護る緩衝材代わりになることを想定しました。
(実際に転倒したときはクッションとなって車体のダメージが軽減されました)
サイドバッグ 自転車用パニア(メーカー不明)
シート後部に30cm四方の汎用ワイヤーメッシュをベルトで固定し、その金網の両端に自転車用パニアのクイックリリースで固定します。この金網はツーリングネットを固定する土台としても利用します。
基本的な整備
バッテリー・オイル・フィルターは新品交換。
パンク修理道具一式(新品チューブ・修理キット・タイヤレバー)・ジャンパーケーブル・ガソリン携行缶も持参します。
撮影機材のバッテリー等を走行中に充電するための配線も増設します。
ライダーの防寒装備
我が地元の真冬の最低気温(-5℃程度)に耐え得る防寒装備は既に揃っています。しかし、今回のルートでは最低気温-25~-30℃の豪雪地域を走るため、さらに大きめサイズの防寒着を重ね着することにします。
防寒ジャケット(inner) GOLDWIN ユーロジャケット
防寒ジャケット(outer) ワークマン イージス
防寒パンツ(inner) KOMINE 防寒パンツ
防寒パンツ(outer) ワークマン イージス
グローブ alpinestars VEGA DRYSTAR
防寒靴 雪中作業用ブーツ(メーカー不明)
その他 ネックウォーマー(メーカー不明)、着脱式スパイク、防寒インナー上下
上記の装備一覧の中で新たに買い足した衣類は防寒着上下アウターと着脱式スパイクのみです。転倒してもワークマンの防寒着が破れるだけであれば(金銭的・精神的な)ダメージが小さくて済みます。
ツーリングブーツの代わりに雪中作業用のブーツ+簡易スパイクを履きます。ヘルメットはベンチレーション孔は全てテープで塞いて冷気を遮断。
グリップヒーターや電熱ウエアは電源となるバッテリーが耐えられないので不採用としました。
走行ルート
バイクとライダーの準備と同時に肝心のツーリングルートを熟考します。
ツーリング日程を決めて早めのフェリー予約
私が2015/12/28~2016/01/04の連休を確保したことを前提に、この期間に合わせて同行者のリンさんと相談しておおまかに走行ルートの時間割を決めます。
・12/28(夕)大洗港出航→(フェリー泊)→12/29(昼)苫小牧港到着
↓
・12/29(昼)苫小牧港→(バイクで移動)→12/31(夜)宗谷岬、またはその付近
↓
・12/31(夜)~01/01(朝) 宗谷岬で年越し
↓
・01/01(朝)宗谷岬→(バイクで移動)→01/03(夕)苫小牧港
↓
・1/3(夕)苫小牧港出航→(フェリー泊)→1/4(昼)大洗港到着
ここまで前提条件が決まっていて、限られた時間で無理な長距離は走らない(走れない)となると選択出来るルートも限られてきます。
細かいルートを決める前に、まずは往路(本州出航12/28)と復路(北海道出航1/3)の往復フェリー乗船チケットを予約します。北海道に行って帰る手段が無ければ北海道ツーリングが出来ません。北海道へのフェリー往復チケット確保が重要かつ最優先です。
年越しの方法
次に、宗谷岬年越しツーリングにおける重要ポイント=宗谷岬での年越しの方法については3つの案が出ました。
A案×:宗谷岬付近の宿で宿泊
最も無難な案です。しかし、宗谷岬周辺の宿はほとんどが冬季休業、営業しているわずかな宿も予約困難かつ既に満室でした。飲食店は年越しの時間帯はほぼ全て休業で、自分たちの経験を考慮すると無理な屋外キャンプは出来ません。
B案△:稚内市街の宿で宿泊
宗谷岬まで片道30kmの稚内市街に12/31から宿泊し、年越し(AM0:00)と初日の出(AM7:00頃)の時間帯だけ宗谷岬へ往復する案です。稚内市街の宿なら安全かつ飲食店・コンビニ・観光スポットも揃っています。しかし、年越しと初日の出のために往復する労力が必要です。
C案○:宗谷岬まで片道13kmのペンションで宿泊
宗谷岬まで片道13kmのペンションを見つけ、この宿を予約しておけば部屋(寝床と荷物置き場)・大晦日の夕食・元旦の朝食を確保出来ます。年越しの夜~初日の出の時間帯だけ宗谷岬にテント泊します。悪天候等で年越しが困難となった場合にはペンションに避難することも出来ます。
このように一番無難で現実的なC案に決まりました。
早速ペンションに連絡して部屋を予約します。
ツーリング途中の宿泊
宗谷岬年越しでのペンション泊(稚内)の他には、雪中走行で出来るだけ無理のない距離を置きつつ、美唄・羽幌・旭川・札幌に宿を予約します。
急なルート変更で泊まれない場合も有り得るので料金はなるべく現地払いか後払いとしておきます。
走行ルート決定
リンさんと相談してほぼ決まった北海道内の移動コース案。
旅の持ち物
特殊なツーリングではあれど、海外ツーリングと違い国境を越えなくていい国内ツーリングで、キャンプもほとんどせず安全快適な宿泊施設ばかりに泊まるとなれば持ち物も少なくて済みます。
財布・着替え・スマホ・アメニティ一式だけ。いつも人並み以上に多い撮影機材も今回ばかりは出来る限り減らします。
直前までの準備
事故・病気・怪我をせず無事に帰ってくるために、雪道凍結路の走り方と年末年始の気象情報をを十分に予習しておきます。
ツーリングの準備よりも例年より早く仕事納めを済ませるほうが苦労しました。
出発前日は深夜3時頃にようやく仕事や個人的な所用を終わらせ、やや寝不足で出発当日を迎えます。
ツーリング動画
宗谷岬年越しツーリング [part1] 2015 →2016 日本北海道跨年機車旅遊
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