突発的に韓国ツーリングを決める
生まれも育ちも首都圏でバイクの旅では本州(しかも仙台から神戸まで)から出たことが無かった私が、2006年秋に長期休暇を取れることになり思い切って遠くの地へツーリングしてみることにしました。
最初は日本一周するつもりで全国のフェリー航路を調べていたとき、たまたま下関(日本)-釜山(韓国)航路の関釜フェリー公式サイトを発見。そこには自動車の航送運賃も掲載されていました。日本と韓国は相互にマイカー(自国で登録された四輪乗用車)をそのまま持ち込めることは以前から知っていて、かつて韓国観光公社宛てに「バイクは持ち込めないのか?」と質問メールを送ったところ「二輪車の持ち込みは禁止されています」という返答を頂いていました。
しかし、ここで思いもよらぬ記載を見つけてしまいました。
引用元 : 関釜フェリー旧公式サイトarchive
‘’自動二輪運賃‘’
知らないうちに関係法規が変わり、必要な手続きをすればバイクも日本から船に乗せてそのまま韓国へ持ち込めるようになっていたのでした。
韓国限定ではあるものの自分のバイクで海外を走れる方法を知ってしまったことで頭がいっぱいになり、日本一周計画はすっかり頭から離れて突発的にバイク持込での韓国一周ツーリング計画を始めることとなりました。当時は韓国ツーリング経験者によるレポートも無く手探りかつアナログな方法で準備を始めました。
未知の国=韓国でのツーリングルートを考える
休暇の都合上、2006年10月の約1か月間で韓国を一周することとなりました(日本国内の移動も含む)。
韓国の観光ベストシーズンは猛暑・極寒・台風等の心配が少ない春(3月~5月)と秋(9月~11月)とのことで、10月はちょうどツーリングに最適な時期です。
渡航時期が決まったところでふと
韓国ってどんな国だっけ?
と疑問が。かつて激安の旅費につられて定番ソウル2泊3日ツアーに一度行ったことがあるだけで、韓国については特別な知識や関心も無く当時流行り始めた韓流ドラマもK-POPも知りません。旅行ガイドブック数冊を買い超有名観光地から無名の僻地までくまなく情報を集めました。
釜山港を起点/終点にして韓国全土を一周
下関港(日本)から釜山港(韓国)へフェリーで上陸し、国際フェリーターミナルのある釜山を起点/終点にして韓国全土を一周する、という超基本構想が先ず確定します。
行きたい場所・見たい景色・食べたい料理が増えていく
ガイドブックやネットの観光情報を見ているとひたすら興味が沸き続けます。
黄海まで辿り着きたい…
北朝鮮国境を自分の目で見てみたい…
珍島の海割れを見てみたい…
済州島にも上陸したい…
韓国でしか食べられない珍味を味わいたい…
ソウルには数日滞在したい…
せっかく行くのだからとあれこれ欲が出てしまい、限られた時間の中で行ける目的地を厳選しておおよそのルートが決まりました。
済州島へ渡るため、釜山~済州島のカーフェリーチケットは日本国内の韓国旅行専門業者に依頼して取得、板門店(北朝鮮)は当然ながらバイクでは行けずソウル出発の板門店専門ツアーに事前予約しました。
日本国内も長距離移動になることに気付く
下関港からフェリーで出入国するのですから当然ながら自宅(関東)~下関を往復しなくてはなりません。地図上にそのおおまかな日本国内ルートを追加で描いてみます。
日本国内往復もそれなりに長距離移動になります。
往路(出国前) 東京有明港→(フェリー)→新門司港→(陸路)→下関港
復路(帰国後) 下関港から数日かけて国内帰宅ツーリング
この国内移動に時間がかかる分だけ韓国ツーリングの日数を減らすことになりました。
必要なモノや書類等の準備
ルートを更に熟考すると同時にツーリングに必要なモノに加えて必要な書類等の準備を始めました。
バイクに積める荷物の量は限られるため持ち物は最低限に抑えます。
必要なモノ・書類等
バイクと自分が国境を超えて韓国内の公道走行をするために必要なものを揃えます。
バイク(最重要)
同年2月に新車で買ったばかりのaprilia RST1000 FUTURA。
当初は日本全国を走るつもり満々だったこともあり、慣らし運転を終え荷箱やキャリアも搭載して既にツーリング仕様に仕上がっていてこのバイクで韓国を一周することになりました。
バイクを韓国に持ち込む手続きに必要な書類一式(最重要)
聞いたことがないようなマイナー書類をいくつも揃えました。
日本から韓国へ自分のバイクを持ち込む手続きは別の記事でまとめました。
国外運転免許証+日本の運転免許証(最重要)
韓国国内の公道でバイクを運転するために絶対必要。
国外であっても日本の運転免許証も同時携行が必須です。
フェリーのチケット(最重要)
関釜フェリー往復チケット(下関~釜山)を近所のJTB支店窓口で購入。
海外渡航に絶対必要なもの一式(最重要)
- パスポート
- 現金
- クレジットカード
- 旅行保険
※上記の最重要書類等について準備方法や細かい手続きは以下の別記事2つにまとめました。
地図(重要)
韓国全土を一周するために必要な道路地図。
水道橋駅近くの韓国専門書店に行って地図を見比べ、ハングル語/中国語(漢字)/一部英語が併記されている道路地図を見つけて購入しました。
当時(2006年)はiPhone初号機さえ存在せずスマホで地図表示する方法が使えませんでした。韓国国内では12V電源で動作する四輪車用ポータブルナビは普及していましたが、それを現地で買って装着するとしてもハングル語の操作方法や地名入力がさっぱり分からず使用しませんでした。
衣類
バイク用の衣服と装備
ジャケット・パンツ・ブーツ・ヘルメット・グローブ
使い慣れた装備をそのまま使い、特に買い足すものはありませんでした。
その他の衣服
下着・靴下・Tシャツ等のバイクに乗らないときの最低限の服だけ用意しました。
足りなくなれば現地調達すればいいと思っていました。
携帯電話
スマートフォンも使い捨てSIMも存在しなかった時代(2006年)で、通話とメールしか出来ない韓国国内専用の携帯電話を日本の業者からレンタルしました。
カメラ
デジタルカメラ1台・ビデオカメラ1台のみを用意しました。
デジタルカメラは平凡なコンパクトモデル、ビデオカメラは当時普及していたHi8カメラでした。
(このツーリングレポートに掲載した画像と一部動画はこのカメラで撮影しました)
その他
- 韓国旅行ガイドブック(旅行情報・韓国語会話集・緊急連絡先一覧等に使用)
- 筆記用具(筆談で使う)
- 旅行用コンセント変換プラグ(韓国AC220Vコンセント対応品)
- アメニティ類(タオル・歯ブラシ・ファーストエイドキット等)
- バイク修理ツール(パンク修理キット・工具等)
出発日までの情報収集と予習
韓国の交通ルール
2006年当時は韓国の交通ルールに関しての日本語の情報が少なく、むしろ英語の情報のほうが多く見つかりました。私は韓国の公共機関(警察や観光情報)のサイトでの外国人向け情報を参考にしていました。
- 右側通行
- 二輪車は高速道路を走れない
- 信号は青信号と矢印信号に独自ルールがある
日本と大きく違うのはこの3点で、その他のルールは標識を見れば直感で判断出来るものばかりでした。
日本語が通じる緊急連絡先
事故・怪我や病気・バイク破損等でツーリングを中止して帰国しなくてはならないような緊急時の連絡先を事前に調べておきました。
日本大使館や韓国観光公社日本語専用電話等の代表的な連絡先は旅行ガイドブックの巻末にほとんど載っていたことと、私の場合はクレジットカードの海外デスク日本語連絡先も控えておきました。
旅行に使える韓国語
仕事とツーリング準備をしながら限られた時間で学べる韓国語はたかが知れています。
旅行ガイドブックの韓国語会話に載っていた定型文を丸暗記したことと、「はい(네)」「いいえ(아니요)」それと金額や時間を伝えるための数字の表現と発音(おおよそ6桁まで)だけは覚えました。
ツーリング出発までの数か月、仕事と休職準備をしつつバイク整備・持ち物の準備・渡航手続き・情報収集と予習を同時に進めて多忙な日々が続きました。
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