フェリーにバイクごと乗船して航行するとなれば、バイクを車両甲板に固定してからライダーは別の座席に移動することが一般的ですが、台湾にはスクーターに乗って乗船/下船し、スクーターに跨ったまま航行するという珍しい船舶があります。
当記事では台湾の高雄市で定期運航されている旗津輪渡の紹介および私自身の乗船体験記をまとめました。
旗津輪渡とは
高雄市(台湾)の旗津区は高雄港を挟んで細長い島になっています。
引用元 : Kaohsiung – Wikipedia
高雄市本土から旗津区へのアクセス
高雄市本土からこの島(旗津区)へのアクセスは主に以下の4経路があります。
- 鼓山–旗津航線(旗津北端の航路、旗津輪渡)
- 棧貳庫—旗津航線(旗津北部の観光船)
- 前鎮-中洲航線(旗津中部の航路)
- 過港隧道(旗津南端の海底トンネル)
この4経路を比較してみます。
経路 | 乗客 (歩行者) | 自転車 | 機車 (スクーター) | 四輪車 |
---|---|---|---|---|
1.鼓山–旗津航線(船舶) | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2.棧貳庫—旗津航線(船舶) | 〇 | 〇 | × | × |
3.前鎮-中洲航線(船舶) | 〇 | 〇 | 〇 | × |
4.過港隧道(海底道路) | × | × | 〇 | 〇 |
4.過港隧道は大型トラックも走行する海底トンネル道路、2.棧貳庫—旗津航線は乗客と自転車のみ乗船可能。スクーターに乗って移動出来る海上航路は1.鼓山–旗津航線と3.前鎮-中洲航線の2つです。
運行本数も利用者も多く機車(スクーター)での移動で最も使い勝手の良い海上航路が、北端の1.鼓山–旗津航線である旗津輪渡です。
旗津輪渡の航路・時刻表・料金
拠点となる2つのフェリーポート
北端の航路である旗津輪渡は以下2つの乗船場を毎日往復しています。
・高雄市本土の鼓山輪渡站(鼓山フェリーポート)
・旗津区北端の旗津輪渡站(旗津フェリーポート)
鼓山輪渡站
(鼓山フェリーポート)
旗津輪渡站
(旗津フェリーポート)
運航ダイヤ
朝の通勤時間帯から夜までは決まった時刻での出港ではなく5~10分おきに発着しています。
早朝と深夜のみ約30分おきの定時出港です。
引用元 : 高雄市輪船股份有限公司 (kcg.gov.tw)
運賃
“スクーターを運転している人”として運賃が設定されていて、”スクーターに二人乗りしている人”は乗客1名として計算されます。
現金または電子マネーでの支払い対応で、電子マネー支払いのほうが運賃が安くなります。
引用元 : 高雄市輪船股份有限公司 (kcg.gov.tw)
旗津輪渡をスクーターに乗って乗船してみた
以下、私が台湾ツーリングで高雄に泊まった翌朝に乗船したときの記録です。
鼓山輪渡站から乗船
高雄市本土側にある鼓山輪渡站です。
Gushan Ferry Pierと英語表記されています。
ターミナル正面に機車(スクーター)専用の出入口があり、左が出口(下船口)/右が入口(乗船口)です。
(徒歩客や車椅子利用客には別の出入口があります)
右側入口にはスクーターと自転車の乗客が待機する通路がありその列に並びます。
運賃で支払う現金を用意しておきます。運賃表は入口に提示されています。
スクーターを運転している私は35元(乗客15元+スクーター20元)でした
※現在の料金は改定されています
ほぼ同型の渡し船が数隻の航行していて、交互に離岸と着眼を繰り返して乗客を運んでいます。
徒歩客よりもスクーター乗車のまま乗船する客が大多数です。
乗船
ターミナルにフェリーが接岸します。
接岸してランプウェイが降ろされます。
まずはスクーター乗客が下船してターミナル出口から一般道へ進んでいきます。
続いてスクーター乗客が料金を払い、スクーターを運転してターミナル入口から乗船します。
私は現金払い専用の投入口に投げ込んで運賃を支払いました。
(ほとんどの乗客は定期券カードで通過していました)
1階は全てスクーター乗客と自転車乗客のためのスペースです。
(徒歩客は2階デッキに座席があります)
景色がよく見える位置でエンジンを止めセンタースタンドを立てます。
乗客の列が途切れたところでランプウェイが閉まり出航します。
出港
離岸してまもなく後続の渡し船が入れ替わるように接岸しました。
天井には吊革があり、スクーターに跨りながら吊革につかまります。
高雄港を旗津区に向けてゆっくり進みます。
ほとんど揺れずスクーターに跨ったままでも安全でした。
フェリーから見える高雄港の景色。
北側には高雄港の水路、南側は高雄85大樓を始めとする街並が見渡せます。
途中、旗津区から航行してきた渡し船とすれ違います。
10分も経たずに旗津輪渡站が近付いてきました。
接岸している渡し船にスクーターが続々乗船している様子が見えます。
旗津輪渡站に到着
接岸が近付くとスクーター乗客はエンジンを始動して出口に集まってきます。「航行中のスクーター移動禁止」の規制は無い、または守られていないようです。
接岸してランプウェイが降りたとほぼ同時にスクーター乗客が発進して下船します。
到着した旗津輪渡站の外観です。
スクーターの乗客はあっという間に方々へ散っていきました。
[動画]旗津輪渡の乗船方法
旗津輪渡の運航と乗船/下船の様子を分かりやすい動画で。
日本における尾道水道の渡船に似ていますが、旗津輪渡は乗船から下船までスクーターに跨ったまま移動出来る台湾らしい地元密着の生活航路でした。
高雄をスクーターで旅するなら是非この渡し船で旗津区へ。
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