[bike]台湾ツーリング2011 臺灣機車旅遊 – part4 嘉義→阿里山

台湾ツーリング2011
この記事(part4)の旅程
  • 5月1日
    嘉義

    安宿で朝食後すぐに出発

  • 8:00頃
    嘉義站

    阿里山森林鐵路の全線運休を確認
    縣道159甲號経由で阿里山へ向かう

  • 12:00頃
    阿里山國家森林遊樂區

    屋台で昼食
    ホテルに予約無しチェックイン
    阿里山站は乗降客ゼロ
    阿里山森林步道を散策
    レストランで夕食

嘉義

5月1日 – 台湾ツーリング3日目

6:30頃に一旦目が覚めたものの昨日の疲労で身体が動かずそのまま二度寝。7:00を過ぎると朝食に向かう宿泊者の声で騒がしくなって目が覚めます。

朝食後すぐに出発

1階の食堂に行き日本語を話せるスタッフさんに「おはようございます、早上好!」と挨拶。
セルフサービスの食堂だけど私にだけ日本語で「おいしいよ!」とお粥を用意していただけました。

安宿の朝食は一般的な家庭料理と同じようなメニューが用意されることがあり、食堂の奥ではここの経営者家族であろう小さな子供が私と同じお粥を食べていました。

薄暗い照明(電気の節約)と相席で食事(場所の節約)は安宿の基本。
食べ始めてすぐに学生グループらしき宿泊客が同じテーブルに座り、お互い眠そうな顔で黙々と食事を済ませます。

狭い部屋から荷物を運び出してスクーターに積み込みます。

安宿街の宿泊客が次々と出てきては駅の方向へ歩いたりスクーターで走り出したり、朝から忙しく人々が行き交います。

宿を出発してとりあえず嘉義站(嘉義駅)に寄ってみます。

嘉義站で阿里山森林鐵路の運休を確認

阿里山森林鐵路の切符売り場を覗いてみると事前に知っていた通り運休していました。

阿里山森林鐵路は世界三大登山鉄道の一つで、日本統治時代の1912年に阿里山の木材運搬を目的に開業しました。森林資源減少と林業衰退を経た現在は観光用に利用され、嘉義站を始発として標高2451mの祝山站(祝山駅)まで豊かで美しい景色の中を登っていきます。

しかし、4日前の4月27日に中国人観光客が死傷する脱線転覆事故があり全線運休になったことが報道されていました。

事故を伝えるニュース映像
20110427 公視晚間新聞 阿里山小火車翻覆 至少5死99傷

ツーリング準備段階では「嘉義にスクーターを残して森林鉄道に乗って阿里山で宿泊→翌朝の日の出を眺めてから下山」の予定でしたが、この事故を知り森林鉄道に乗る予定を早々に断念することになりました。今日はスクーターで阿里山站(阿里山駅)を目指し、「阿里山で宿泊→翌朝の日の出を眺めてから下山」だけの予定としました。

阿里山までスクーターで移動

ここで地図を見ながら走行ルートを考えます。

嘉義から阿里山站に向かうルートといえば阿里山公路が一般的で、観光バスはほぼ100%こちらを通ります。縣道159甲號(159甲)は乗用車がすれ違うのも苦労するほど細い峠道で石卓周辺で阿里山公路と合流します。今日はこの細い縣道から阿里山へ登ることにしました。阿里山公路は翌日下山するときに通る予定とします。

嘉義から数kmくらいは見通しの良い幅広車線が続いています。
道路脇には閑静な住宅街や汽車旅館(モーテル)が点在している様子が見えます。

ガイドブックには「阿里山に向かうまでの道は茶畑が広がり…」と解説されていますが、それはおそらく阿里山公路のことと思われます。こちら(159甲)には茶畑はほとんど見えず、代わりに大量の檳榔樹が生い茂っていました。

道路沿いに植えられている檳榔樹。

先に進むにつれて幅の狭い道になり、檳榔畑の中を道路が貫いてるような景色に囲まれながらのツーリングになります。

日本ではなじみのない檳榔樹が広がる山肌は一見して送還ではありますが、檳榔樹は土砂崩れの原因になりやすく、森林を切り開いて檳榔樹を植えることは台湾では快く思われていないそうです。

山間部はセンターラインも標識も無いようなカーブの連続。
右側通行を認識させるものが無く、左側通行に慣れた日本人としては気を抜いて走っていると忘れた頃に左前方から対向車が来てドキッとします。

159甲の終点まで到達。
標高は1200mを超え肌寒くなってきました。

嘉義近郊から終点までの159甲の走行シーンを動画で。
縣道159甲號(台湾)

159甲終点の先は石卓阿里山公路と合流します。観光バスとタクシーが連なり、沿道には茶葉の直売所や売店が並んでいて道端からは茶畑も見えます。

観光バスに合わせ低速で上り坂を進んでいきます。

標高1500m辺りで急に気温が下がり、標高2000mを超えた辺りから身体が震え出してしまいます。そろそろ防寒着を着ようかと迷い出した頃に観光バス専用の駐車場が見えてきました。

今日は日曜日、観光バスが何台も停まっています。

阿里山國家森林遊樂區

標高2200mに達する頃、本日の目的地に到着。
阿里山國家森林遊樂區の入山ゲート。

ゲートには中国語・英語・ちょっと怪しい日本語で料金が提示されていて、ここで入山料(日曜日)200元+二輪車駐車場使用料20元=計220元を支払います。

ゲートを入ってすぐ先にも観光バスが何台も停まっていました。
かなり大人数の観光客がここに来ていると思われます。

阿里山観光の拠点に到着

阿里山站から見下ろすと広い駐車場が見えます。
奥には阿里山旅客服務中心(阿里山ビジターセンター)があり、ここでは日本語の観光案内も対応しているそうです。

この駐車場には主に一般車が駐車していて、ここを中心に旅客服務中心・公車總站(バスターミナル)・便利商店(コンビニ)・土産物店・レストラン等が並び阿里山観光の拠点となっています。
観光用地図を見る限りではこの周辺を平坦な土地と勝手に想像していましたが、実際は斜面の上から阿里山駅→駐車場→ホテル密集エリアの順に並んでいて、移動には急な階段を昇降しなくてはならず高齢の観光客が息を切らしながら歩いていました。

駐車場の端にはバイク駐輪場があり、ここにスクーターを停めます。

日本なら速いバイクに乗った排ガスまみれのジャケットを着たおっさん集団がソフトクリームでも食ってるところですが、ここでは少しだけ厚着の一般市民が乗るスクーターばかりが停まっています。

時間は昼過ぎ、駐車場の端にある屋台で昼食。

ホテルに予約無しでチェックイン

食後はすぐに今夜の宿探しです。
旅客服務中心の横にある階段を下りホテル密集エリアへ向かってみると、翌日が月曜ということもあり人の出入りはまばらで空室には余裕がある様子でした。

駐輪場に戻りスクーターをホテル密集エリア前の駐車まで移動させます。ヘルメットを脱いで周囲を見回していると、ホテル前で掃除をしていた女性に声をかけられました。「空室をお探しですか?」と言っているようです。

誘われるがまま入ったホテルは阿里山青山別館

ここって一泊3000元くらいだったような…とりあえず宿泊料を聞くと1泊1000元でいいとのこと。予想より大幅に安かったので即決しました。現金で宿泊料を支払ってルームキーを受け取ります。

ガイドブックにはこの周辺のホテルはシングル1泊3000元前後が相場と記載されていますが、それは金/土/休前日の繁忙期料金で、それ以外の閑散日(日曜午後/平日)はどのホテルもたいてい予約無しで泊まれ、実質相場1泊1000元くらいまで料金が下がるそうです。

阿里山站周辺のホテルは他の観光地とは違う特徴があります。

・必ず早朝モーニングコールがある
ここで宿泊する観光客のほとんどが祝山站展望台まで日の出を見に行くため、頼んでいなくても午前3~4時(時刻は日の出時刻により変化)に部屋の電話が鳴ります。逆にモーニングコール不要なら事前に断る必要があります。

・基本的に朝食無し
日の出を見てからホテルに戻る前にレストランや売店で朝食を済ませる観光客が多く、ホテル内での朝食提供は基本的にありません。ホテルによっては朝食を提供していたり団体客のみ朝食を用意することもあるそうです。

ホテル受付の壁にこんな告知板が。

明天起床時間 3時40分 (明日のモーニングコール時刻)
明天日出時間 5時35分 (明日の日の出時刻)
明天火車時間 4時30分 (明日の祝山駅行き鉄道便が阿里山駅を出発する時刻)
明天退房時間 11時00分 (明日のチェックアウト時刻)
旅途愉快 (よい旅を)

本来なら阿里山站から祝山站まで森林鉄道の早朝便があり、観光客はその列車に乗って祝山站に行き展望台から日の出を見るのが定番コースです。
しかし前述の通り森林鉄道は全線運休で、受付のホテル職員さん日本語で「あした、でんしゃ、ない。」と教えてくれました。明朝はかなり早起きして徒歩で行くしかありません。

部屋は清潔で必要なものは一通り揃っていました。

明日は3時40分起床か…今夜は21:00までには寝なくちゃ、とか考えつつ大きい荷物を部屋に運びます。そして撮影機材だけを持ってすぐに外出し森林の散策へ向かいます。なんだか普通の台湾観光ぽくなってきました。

阿里山站は利用客ゼロ

ホテルを出て阿里山観光の定番コース・森林步道の散策に向かう前に阿里山站に立ち寄ります。

森林鐵路が全線運休のため駅構内から列車を見物して景色を眺めるだけの観光客が少々いるだけでした。プラットホームに入れず奥に停まっている機関車と列車を遠目に見ると、機関車が試運転らしきことをしていました。

乗客のいない阿里山站を動画で。

阿里山站から森林步道までの道路をスクーターで移動します。森林步道までは遠くないためほとんどの観光客は歩いて移動していました。

阿里山警光山莊の近くにある踏切。遮断機も警報機もありません。
運休のためここを車両が通過することもなく整備員さんらしき人達が線路上で何か作業をしていました。

森林步道の入口付近にある受鎮宮近くの駐車場にスクーターを停めます。道教の寺院である受鎮宮は台湾で最も標高が高い場所にある廟で、すぐ前には香林國民小學の校庭と校舎もあります。受鎮宮と香林國民小學の間には明確な境界線が無く同敷地内に建っているように見えました。

受鎮宮香林國民小學を動画で。

阿里山森林步道を散策

受鎮宮の斜め前辺りに観光客向けの売店があり、その横の往神木区(神木区へ)という案内板の先に阿里山森林步道があります。

阿里山は日本統治時代は林業の一大拠点で、阿里山で採れた上質の台湾ヒノキの一部は日本に運ばれ靖国神社や明治神宮などの日本を代表する建築物に使われていました。森林鐵路もその木材を運搬するために整備されました。現在は森林資源減少と自然保護のために森林伐採は禁止され、この周辺のヒノキは散策しながら見て楽しむものとなっています。

歩道はよく整備されていて、樹齢数百~二千年の巨木と人工的に植林された細長い木々を散策しながら見ることが出来ます。人口植林のほうが圧倒的に多く、数少ない天然の巨木には一つ一つに第○○号巨木と名がつけられ中国語・英語・日本語で樹齢・太さ・高さ等が記されています。

さすがに樹齢千年を超える巨木は圧巻で、地面と樹木の境界が分からないほど生えている苔の隙間を虫がうごめく自然をずっと眺めていられます。

そんな阿里山森林步道の様子を動画で。

この歩道の途中に阿里山森林鐵路神木站(神木駅)があります。
森林鐵路に乗らなくてもこの駅から列車を見ることが出来て、列車はこの駅でスイッチバックして急勾配を登っていく森林鐵路の見せ場でもあります。この駅で列車の運行が見られることを楽しみにしていましたが、この駅のすぐ近くで数日前の事故が起きたそうです。線路には立入禁止のテープが張ってありました。

列車の来ない神木站の様子を動画で。

樹齢数千年の御神木

駅のすぐ脇には樹齢三千年超の神木が横たわっています。かつては阿里山でも最長老の神木として生えていたが、1997年に落雷を受けてしまい倒壊の危険があるため1998年に切り倒され、そのままこの場所に鎮座しています。
倒木の後は別のヒノキが神木の称号を引き継いだため、これは初代神木と称されています。

人間の大きさと比べるとその巨大さが一目瞭然。

倒れてしまった”初代”の神木に代わり、二代目の阿里山香林神木が歩道の途中に聳え立っています。
初代よりもやや細い樹齢2300年なれど見劣りすることは微塵も無くかなりの迫力です。

阿里山香林神木の斜め前に樹霊塔が建っています。

伐採された巨木に対する慰霊のために当時の日本人が建立したもの。
日本語解説もあり、そばにいたガイドさんも「これは日本人が…」と中国語で語っていました。

歩道の途中で雲海が見えました。
森林も見事ですがここ2200m超の高地から広がる広大な景色も絶景です。

この後、象鼻木三代木等の伐採された巨木の切株を見ていると雨が降り始めてしまい、急いでスクーターの荷箱に荷物をしまってホテルに帰ります。他の観光客も早足で歩道を去っていきました。歩き回ってかなり汗をかき、ホテルに戻ってからは風呂に入って昼寝しました。

夜の阿里山

19:00頃、目が覚めて窓の外を覗くとまだ雨が降っていました。

スクーターに入れっぱなしだったバイク用雨具を上衣だけ着込み、歩いて阿里山駐車場へ向かいます。

宿泊客は夜になるとこの周辺しか行くところが無く、暗い夜でも人が大勢集まっていて騒がしいくらいでした。

土産物店

売店を覗くといかにも観光地なお土産と共に阿里山らしい売り物も並んでいました。

熱帯の台湾ではほとんど見かけない上着や手袋などの防寒着。

実際のスクーターには使えない装飾品としてのナンバープレートが売られていました。
しかも台湾国内で発行される正規ナンバープレートとは全く異なるデザインで、むしろ日本の原付ナンバープレートにかなり似せてあります。

阿里山といえば烏龍茶の名産地。
お茶の専門店も数軒並んでいてお値段も高めです。

お茶の器具を眺めてると店員さんに試飲を勧められました。
試飲だけでも華麗なる手捌きで注いでいただけます。

夕食

お茶の後、お一人様でも入りやすかった玉山園餐廳で夕食です。
私が日本人だと判ると日本語メニューを用意していただけました。

注文を間違えて2人前のお料理が出てきましたがおいしく完食しました。

20:00を過ぎて観光客はホテルに戻り始めています。明日の早起きに備えるため自分も早々に帰ります。

テレビを観ながら荷物の整理をしていると、ニュース解説番組で4日前の鉄道事故の解説をしていました。陸客(台湾では中国人観光客のことを「陸客」と表現する)が乗った森林鉄路が脱線転覆して死傷者が出た痛ましい事故。鉄道の復旧と営業再開はまだまだ先になりそうでした。

今日はスクーターに乗る時間よりも森林の中を歩く時間のほうが長かった一日でした。
明日はAM3:40にモーニングコールがかかってくる予定で21:00頃にはベッドで横になりました。


明日は祝山站展望台から日の出を見た後に下山し台南へ向かいます。

ツーリング動画

台湾ツーリング2011 / 臺灣機車旅遊2011 – [ part 3 ]

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