[bike] aprilia FUTURA RST1000 (アプリリア フツーラ) 基本情報

aprilia RST1000 FUTURA

RST1000 FUTURA (フツーラ)はaprilia(アプリリア)が2001~2003年に生産・販売していたバイクです。
当記事ではFUTURAに関する基本情報と画像付きでの車体解説を元オーナーの私が紹介します。

RST1000 FUTURA 概要

引用元 : Aprilia: motorcycles and scooters. Official site

イタリアの二輪車メーカー・aprilia(アプリリア)が1998年に大型オンロードバイク RSV mille(ME型) を発売。翌1999年には同マシンでスーパーバイク世界選手権(SBK)に初参戦し、その後の2001年にマイナーチェンジされた RSV mille(RP型) の兄弟マシンとして発売されたスポーツツアラーが RST1000 FUTURA (フツーラ)です。

かつてbimotaでTESIや500V-due等の開発を担当したデザイナーのPierluigi Marconi氏が1998年からアプリリアに在籍し、FUTURAのチーフデザイナーとして開発に携わりました。

RSV mille(RP型)のフレームやROTAX製V990エンジンをほぼそのまま流用しつつも、片持ちスイングアーム、シート下に完全に収まるセンターアップマフラー、専用メーターパネル等の専用設計が施され、当時の他のアプリリア車に多かった流線形とは一線を画す直線的な外装デザインに、そのデザインに完全に溶け込むような専用純正パニアケースも併売されていました。

スペックとしてはRSV milleよりも最高出力・最高トルクは共にダウン、フロントブレーキディスクも小経化されましたが低速域のトルクは逆にアップして扱いやすくなり、ライダーの負担が軽減されるアップハンドルや分厚いシートも装備され、長距離ツアラーとしての使い勝手は向上しています。

相応の開発費が投入されたにもかかわらずFUTURAは販売不振が続き、発売後にはPierluigi Marconi氏がアプリリアを去ったこととアプリリアの深刻な経営不振も重なり、一度もモデルチェンジされずに2003年に生産中止、2005年頃までに全ての国で正規販売が終了しています。

RST1000 FUTURA カラーバリエーション

・SILVER
・BLACK DIABLO
・BLACK
・BLUE INFINITY
・RED FLAME

引用元 : Aprilia: motorcycles and scooters. Official site

RST1000 FUTURA 公式カタログ

引用元 : Aprilia: motorcycles and scooters. Official site

RST1000 FUTURA 各部詳細(画像付き)

私がかつて所有していたFUTURA(2003年式イタリア仕様)の画像付き各部詳細です。

外観

一目でFUTURAと判る直線的かつ特徴的なスタイル。

ヘッドライト

[Lo]下側1灯+[Hi]上側2灯の3灯式ヘッドライト
非力なハロゲンバルブに大型リフレクターの組み合わせで、Lo側に極小のポジションバルブが装着されている。Hi-Lo切替スイッチがなぜか通常と逆(上側Lo-下側Hi)になっている謎仕様。

ホイール&タイヤ

[前]3.50 17J
[後]5.50 17J

前後共にbrembo製アルミ合金ホイールで極小のbremboロゴも刻印されている。リアホイールは片持ちスイングアームにセンターボルトのみで固定される。
タイヤは大型スポーツモデルとしてごく一般的な[前]120/70ZR17 / [後]180/55ZR17

スイングアーム

FUTURA専用のシングルサイド片持ちスイングアーム

ブレーキ

[前]brembo対向4potキャリパー 300mm(ダブルディスク)
[後]brembo片押2potキャリパー 255mm(シングルディスク)

キャリパー・マスターシリンダー・ディスクはbrembo製、ステンレス製ブレーキホースのみfreudenberg製。全年式でABSは装備されていない。

メーターパネル

[左]速度計・オドメーター・ウインカー表示(左右共通)
[中]タコメーター・ハイビーム表示・ニュートラル表示
[右]燃料計・水温計・気温計・時計・燃料リザーブ表示
[上]油圧警告灯・サイドスタンド警告灯・EFI警告灯
[下]設定スイッチ2個

夜はタコメーター周囲がレインボーカラーに輝く。

ハンドル

[左]クラッチレバー・ウインカー・ホーン・Hi-Lo切替スイッチ・パッシングスイッチ
[右]ブレーキレバー・アクセル・セルボタン・キルスイッチ

ヘッドライトスイッチは装着されているが日本国内の保安基準に合わせて内部で固定され消灯は出来ない。ごく一般的な構成でその他の電子制御に関わるスイッチ類は無し。

フロントサスペンション

フルアジャスタブル倒立フォーク
年式によりSHOWA製またはMarzocchi製のいずれかで、この車体(2003年式イタリア仕様)は内側の目立たない部分にSHOWAのロゴが刻印されている。

リアサスペンション

SACHS製フルアジャスタブルシングルショック
左側シート下にあるツマミから手動でプリロード調整が可能。

エンジン

4ストローク 60度Vツイン DOHC ツインプラグ
オーストリアの発動機メーカーROTAXのV990ユニットをaprilia RSVmille向けに高速走行用途にアレンジされ、さらにFUTURAに流用された際には長距離ツアラー用途に再アレンジされ低中速域が扱いやすくなっている。
巨大な二分割水冷ラジエーターの他に小さな油冷ラジエーターも装備。外側からはエンジンがほとんど見えずタンクを外してようやくヘッドが見える。

排気系統

Vツインのエキパイがエンジン下の巨大な触媒に繋がり、そこからシート下のサイレンサーに繋がっている。排気系統パーツは全体ではかなり大きめにもかかわらず外装でほとんど隠され外側からはほぼ逆三角形の排気口しか見えない

ミラー

前方に大きく傾いたウインカー内蔵ミラー
ミラー部分は上向きに半回転して折りたためる。

ガソリンタンク

総容量20.5L、残り約4Lでリザーブ警告灯が点灯する。
ガソリンが入るタンク部分は後側に偏っていて前側はエアクリーナーボックスのための空洞スペースとなっている。サイドスタンドで停車中でも給油出来るように給油口がわずかに右側にオフセットされている。樹脂製のためマグネット式タンクバッグは使えない。

シート

長距離かつ長時間を快適に走り続けるための分厚いタンデム一体型シート
シート周辺の外装も一体化している。メーターパネル左側にある鍵穴で取り外せる。

純正パニアケース

容量29リットルのaprilia純正パニアケース
FUTURAの外装に溶け込む、というよりはむしろ外装と一体化しているデザイン。一般的なフルフェイスヘルメットがそのまま収納出来る。

RST1000 FUTURA 最高速・加速(0-100km/h)

最高速

メーカー公称値としての最高速度は150mph(時速240km)。
私が富士スピードウェイ走行会に参加して実際にGPSで測定した最高速も約230~235km/hでほぼ公称値通りでした。

加速(0-100km/h)

メーカー公称値は公開されていませんが、個人測定でのタイムはおおよそ4秒前後の場合が多いようです。私が測定したタイムは約4.2秒でした。

RST1000 FUTURA スペック

車名(コード)RST1000 FUTURA (ZD4PW)
メーカーaprilia
生産国イタリア
全長2170 mm
全幅740 mm
全高1240 mm
シート高820 mm
軸距1435 mm
最低地上高135 mm
車両重量235 kg
エンジンコードV990PW
エンジン形式ROTAX 4ストローク 60度V型2気筒 DOHC4バルブ AVDC ツインプラグ
総排気量997.62 cc
ボア×ストローク97.0×67.5 mm
圧縮比11.8:1
最高出力114 HP (84kW) / 9250 rpm
最大トルク94Nm (9.58kgfm) / 7000 rpm
燃料供給方式φ51 mm SAGEM 電子制御式燃料噴射システム(EFI)
使用燃料種類ハイオク 無鉛プレミアムガソリン
燃料タンク容量20.5l(リザーブ含)
トランスミッション6段リターン
クラッチ形式空圧バックトルクリミッター(PPC)付き油圧制御湿式多板
冷却方式水冷
フレーム形式鍛造+鋳造溶着アルミニウム合金フレーム
スイングアームシングルサイド片持ちスイングアーム
フロントサスペンションShowa/Marzocchi φ43 mm アジャスタブル倒立フォーク
リアサスペンションSachs-Boge アルミニウムフルアジャスタブルモノショック
ホイールbremboアルミホイール 前3.50×17 後5.50×17
タイヤ前120/70ZR17 後180/55ZR17
前ブレーキbrembo φ300mm ダブルディスク4ポットキャリパー
後ブレーキbrembo φ255mm ディスク2ポットキャリパー
メーカー希望小売価格1364000円 (税込、2004年販売当時)
アプリリアジャパン公式サイトおよび公式ユーザーマニュアルの数値を基に表記を一部変更しました。

RST1000 FUTURA 元オーナーとして

他社製の大型ツアラーを買うつもりでバイク店に実車を見に行ったときに店舗の目立たない場所に陳列されていた売れ残りのFUTURAに一目惚れし、ネットで徹底調査してからその展示車両を新車で買いました。
納車半年後にはFUTURA持ち込みで韓国ツーリングを敢行し、その後も東北・九州・四国へツーリングを繰り返しました。
度重なる故障、手間のかかるパーツ入手、高額の修理費に難儀しつつも何とか維持を続け、最後は電装部品がどうしても修理出来ず不動車となり手放しました。我がバイクライフで最長の11年乗り続け、今でも当時の画像を眺めるだけで多々思い出が蘇るバイクです。

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